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暗号解読 - サイモン・シン 

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暗号解読(上・下) - サイモン・シン
 The Code Book - Simon Singh
 青木薫訳 - 新潮文庫

  暗号の歴史,概略がわかりやすく理解できる
  暗号技術者 ≒ 社会から隠された存在
  現在インターネットを使っている人には必須教養としての暗号
  (まさか暗号化せずにクレジット番号を送ったり,個人情報を送ったりして
  ないですよね?)

        ----

昨年読んだ彼の著作「フェルマーの最終定理」が滅茶苦茶面白かったので,プルーストの合間にこの作品も読んでみた.結論から言うと,これも滅茶苦茶面白い! 


本書は,2種類の暗号(コード/code=単語の置換.サイファー/cipher=文字の置換)と隠蔽(ステガノグラフィ/steganography)を使った暗号文が利用された16世紀のエリザベス女王暗殺未遂事件に関する物語,第二次世界大戦前後に使用されたドイツ有名な暗号”エニグマ”を巡る物語,現在ネットワークで利用されている公開鍵方式暗号”RSA”誕生への物語,そして将来の量子力学的に絶対に傍受,解読不可能と言われる”量子暗号”の略解といった内容で構成されている.

 
個人的には,有名なチューリング・マシンの発案者であり,暗号ものSF?小説”クリプトノミコン”にも実名で登場するエニグマ解読マシンの設計者アラン・チューリングの凄さを改めて感じた.しかし,彼の成し遂げた仕事と性癖が,栄光の邪魔をする.ここでQueenの楽曲のイメージが連想され,涙した私.

更に暗号解読後に採った連合国軍の戦略,日本(人?組織?)が最も不得意とするマネージメントの巧さに感嘆させられる(この辺りは”クリプトノミコン”の物語中に更に詳細な説明があったと思う).

 
最後に出てくる量子暗号通信は実現性が感じられた.しかし,途中にちょっと顔を出す量子力学的な”状態の重ね合わせ”を利用して”RSA”の肝である素因数分解を一瞬で解いてしまうと言われて研究されている”量子コンピュータ”は,どうも腑に落ちず,本当に実現できるのかいな?と言う感じ.


また,全体を通して,昔の暗号はどちらかというと言語学者が主役であったが,第2次世界大戦頃から数学者が主役になり,現在は物理学者に主役が移りつつあるというのがよくわかる.

それにしても暗号に関わる仕事(作成者でも解読者でも)は,禁断の果実だ.でも,もし守備範囲であるならば数学専攻,理論物理学専攻の学生には頑張ってもらいたい.少なくとも紀元前から続く飯の食いっぱぐれのない仕事.


彼の著作の面白さの鍵は,難解な理論,技術の説明の明快なわかりやすさ.また,それに絡んだ人物の人となり,背景をしっかり物語ることにより,堅物の理論,技術に人間くささが染み込んで,製造ロボットにより生産された機械ではなく,人の手によって作られた愛着の湧くものに感じられる点だと思う.発明,発案時には設計書がないから,人が自分の頭と手で”設計図”なり,”方程式”を書くわけであるので当然のことであるが.

 
本書の後半に「モジュラー」数学が出現するが,これは先の「フェルマーの最終定理」にも現れ,そしてその証明のキーになる数学分野.

基本的には,実は我々も自然に使っている数学で,例えば,夜の10時(又は22時でも構わない)に,「今から8時間後に集合」って言われたら,「あー,18時ね」とか「あっ,30時ね」とか考えずに,「朝6時(又は単に6時)ね」と考えるでしょ.これが「モジュラー」.これは「6(mod12)」とか「6(mod24)」という書き方に相当.要は,入力値をmodの後の数字で割った結果の剰りってこと(但し,値は全て整数とする).

このように,モジュラーは一見単純に思える数学だけど,フェルマーの最終定理にも,暗号にも使われる素晴らしい且つ実は難解な理論体系だ.

 
文頭にも書いたが,ネットワークを使用している人は,暗号を日常的に使っているのだから,教養としてこの本くらいの知識を持っていても良いと思う.ネットワークの仕組みを知らなくてもそれを使うことはできるが,知っている方がいろいろとソンしたり大失敗したりしないでしょ.山道に入るならコンパスと地図を持ち,その使い方を理解している方が助かるでしょ.

本書は,「フェルマーの最終定理」とともに大推薦.読んで損無し.おかしな比喩であるが,RSAで利用される素因数分解,実際にどれくらい時間がかかるものか自分のPCで調べたくなるくらい面白い.


おまけ1)
 エリザベス女王暗殺未遂事件のところで,英国の歴史についてwikipediaとか読んでみた.恐ろしい世界だ.貴族ってのも大変だあ.

おまけ2)
 ペルシャ語とか読めないし,聞けないし,イスラム文化もよくわからないしで,わからないことばかりだけど,どうやら古代イスラム文化(特に理数系)は凄いらしいことが今更気づく.
 
おまけ3)
 最初に読んだ暗号ものは「踊る人形」.確か小学生だったはず.


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