しあわせの理由 - グレッグ・イーガン 

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しあわせの理由 - グレッグ・イーガン
Reasons To Be Cheerful - Greg Egan / 山下真訳 - 早川書房


 「失われた時を求めて」と平行に読んでいた久しぶりのSF短編集.原本は2003年出版.内容はハード寄り.バイオテクノロジーもの多し.

 表現全体の傾向として,事象に対する客観的な目線,感情,悪く言えば捻くれた考え方の主人公が多いです.そして,ハードボイルドな文体と,少し悲しいハッピーエンド/Happy End,またはハッピーになれる可能性も残っているアンハッピーエンド/Unhappy End.

 ちょっと捻くれすぎだなあと思う主人公の感情表現箇所もありましたが,それでも自分の中のある一つの人格に比較的似ているかなと感じ,少し共感できるところもありました・・・.それは,出来事に対してちょっと退いてしまう,客観的な感情,熱中できない心,悲観的見方.良く捉えるとすれば,冷静な分析・・・.


 収録作品の中で面白かったのは,表題作である「しあわせの理由」,そして抜群に面白かったのは「闇の中へ / Into Darkness」でした.

 後者は,ワームホール(一般相対性理論?)と,量子力学と,統計力学とを組み合わせた救出もの(ワームホールの中に突入していくRunnerの話)です.救出ものということもあり,全編緊張感が走っていました.また,ワームホール内部の状態を表現するための上記理論からの解釈が秀逸でした.

 Amazonの書評などでは人気があるようですが,私にはイマイチでした.上記2つの作品以外は,何か嫌な後味残ったり,スッキリしない展開であったり,ちょっとこじつけっぽいと思ったりしました.

 実世界の理論のちょっと難解なSF的解釈が物語の軸になっていること,客観的且つクールな主人公や表現が多く,感情移入が難しいこと等の理由により,個人的には,SF初心者にはお勧めしません.


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