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失われた時を求めて9 - 第六編 逃げさる女 - マルセル・プルースト  

”いつでも万事に用意のよかった彼女が,出かけようかと私が尋ねたとき,それは彼女が最後の手紙で,「あれは二重の黄昏だったのですもの,夜が降りてこようとしていた上に,私たち二人も別れようとしていたですからね」と呼ぶことになるあの悲しい日だったが,その肩にフォルトゥニのコートを引っかけたのだった.”



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失われた時を求めて9 - 第六編 逃げさる女 - マルセル・プルースト
井上究一郎訳 - ちくま文庫版(筑摩書房)


  アルベルチーヌの出奔とその後
  ヴェネチア滞在の実現
  友人サン=ルー,幼なじみジルベルトと”私”との関係

いよいよ物語のクライマックス,完結編の始まりです.
場面描写がぐっと少なくなり,”私”の心理描写に重点が置かれた一文も手を抜けない濃密な文章となります.そのためか読み進むのが遅くなってしまいましたが,それほど大変さを感じませんでした.逆に読み落すのが勿体ないくらいでした.

この巻は,物語の起承転結の転に相当する箇所なので.今回はあまりあらすじは書かないようにしたいと思います.

タイトルからわかる通り,”囚われの女”アルベルチーヌが文字通り”逃げさ”り,その後のある事件によって彼女との関係が完全に消滅します.そして”私”に訪れるの苦悩とその経過,結末がたっぷりと描かれます.

次の場面では”私”はアルベルチーヌと一緒に訪れるつもりであったヴェネチアに”私”の母とともに滞在します.その最中に”私”が一つの重要な発見をします.また,あるちょっとした事件も発生し.その事件の顛末が語られてこの巻は終ります.

この巻で,いろいろな謎?というか,いろいろな物語の結末が明らかにされます.今まではどちらかというとサロンの風景描写などが多かったですが,この巻では”私”の思考の移り変りの描写がほとんどを占め,ある種哲学書といった趣です.400ページ以上に渡る活字全部がエキスのように読める小説というのは,やはりなかなかお目にかかれるのものではありません.驚きです.

今回冒頭に引用を載せてみました.内容から察しられるように,これはアルベルチーヌが逃げ去る直前の二人の場面を記した文章です.本書では論理的で,どちらかというと説明がまどろっこしい文章が多いのですが,ここぞというところでこのようなロマンチックな文章群が切り込んできます.私はここでまたまたホロリとしてしまいました.しかもこの文章の中に,後の重要な場面で登場するキーワードが挿入されていたことが後の場面でわかり,更に”やられて”しまいました.


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