侍女の物語 - マーガレット・アトウッド 

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侍女の物語 - マーガレット・アトウッド
The Handmaid's Tale - Margaret Atwood
斉藤英二訳(早川文庫)

  女性版「1984年」,或いは現実的な「1984年」
  出産可能な女性は”歩く子宮”として管理されるキリスト教原理主義的ファシスト国家
  私の嫌いなハードボイルド調の文体


冒頭にも書きましたが,本書はディストピア小説の金字塔「1984年」の女性版と言える作品です.内容は冒頭のリンク先を参照していただければだいたいわかると思います.最後のオチがひとひねりされていて,「1984年」よりは救われました.

但し,この文体はあまり好きではありません.原書がこうなっているのか,訳者の技量なのかわかりませんが,ハードボイルド調のぶつ切り文体はちょっと感情移入に苦労します.また,英単語が二重の意味に使われているところがあり(訳注あり),英語の得意な人が原書で読んだら,二重の意味で使われる単語がもっと多くなり,もっと興味深く読めるのではないかと思いました.

侍女はなぜか本名で呼ばれずに源氏名?が付けられますが,この付け方に本作品の女性観が集約されていて,”なるほどと”唸らせられました.(私は,半分くらい呼んだところで気がつきました.)

「1984年」に比べると,進行が早く読みやすいのですが,ディストピアの世界観の構築が不徹底で,奥行きがありません.「1984年」は世界観の構築が徹底していてある意味”突き抜けて”しまっていて気持ち良いというか,「あー,別世界なんだな」という突き放した感覚で読むことができますが,逆にこちらの作品は現実世界との距離が比較的近く,「もしかしたら,どこかの国や地域で,実際に行われてもおかしくないかも」という恐怖感があります(特に女性側から見たら.かと言って男性にとって良い世界という分けではないですが).

どちらにしても男性の私でも充分嫌な気分にさせられた作品ですので,女性の方が読む場合は心してかかった方がよいかと思います.

ちなみに映画化もされています.まだ未見ですが宣伝版では強烈な映像が繰り出されていました.DVDが出ていたら見てみたいです.

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